いなほの本棚

ASD女子大生の読書記録

日本の貧困の現実とは?|『格差と分断の社会地図』【日本人必読】

日本の裕福層と貧困層の分断は、もう無視できないところまできている…。にわかには信じられない日本の貧困の現実を暴く本。

私はこの本を読んだとき、本当にこんな世界が日本にあるのかとその夜は眠れませんでした

それぐらいショッキングな本です。

〈目次〉

書籍情報

見えない世界にいる人たち

まず本書を手に取ることができるのは、ある程度金銭的に恵まれた人だと思います。そんな人たちには見えていない世界があります。

日本の人口、およそ1.2億人。そのうち7人に1人が相対的貧困とされ、毎日の生活に困っています。

あなたは信じられますか?

私は高校でその事実を知ったとき、信じられませんでした。

私は小中と公立の都内の学校に通い、高校は私立でした。私は、身近にお金に困っている人を見たことがありませんでした。

そう、恵まれている人には見えていないのです。社会に置いていかれてしまった人たちが。

バブル崩壊の影響

どうして私たちから貧困にあえぐ人たちが見えなくなっているのか。それを知るためには、バブル期までふり返る必要があります

1980年代後半のバブル、1990年代のバブル崩壊

このとき日本人は上手いこと資産を形成したグループと、リストラにあったり就職氷河期資産を築けなかったグループに分かれました。

階級の中ですべてが完結する

その結果どうなったか。

金銭的に余裕がある親は子どもの教育にせっせと課金します。その結果子どもは大学進学を果たし、政府機関や大企業などに就職して安定した収入を得ます

一方で貧しい家庭の親には子どもを塾に行かせるお金も、そもそも高校や大学に行かせるお金もありません

日本は学歴社会ですから、彼らの子どもは低学歴のため就職先が限られ、低賃金の職業や非正規雇用に就くことになります。

つまり義務教育が終了する高校生あたりから、貧しい家庭の子どもたちはふるいにかけられて落とされていき、裕福な家庭の子どもたちの前から姿を消すのです。

就職先が異なるわけですから、両者が接する機会はほとんどありません。基本的に結婚も同じ階層同士で行われ、その子どもも両親と同じ道をたどることになる。

金持ちの親には、金持ちの子ども貧しい親には、貧しい子ども。この負の連鎖から、日本は抜け出せなくなっているのです。

こうやって階層間の分断が、世代を追うごとにどんどん深まっているのです。

まずは相手を知ること

ではどうすればよいのか。これはなかなか難しい問題ですが、ひとつはっきり言えるのはまずは相手のことを知らなければ何も始まらない、ということです。

私はこの本を読むまで、日本でも産まれたときから属する階層があるのだということを知らなかったですし、実際に貧困層がいると聞いても信じられませんでした。

しかし貧困層の側からは、私たち裕福層の姿は絶対に見えています。産まれたときから恵まれた環境にいる私たちを、ずるいと憎む人もいるでしょう。

でもそれでは、日本社会の分断は深まるだけです。

著者は裕福層と貧困層がお互いのことを知ることが第一歩だと述べていますが、私は裕福層が貧困層を知ることが先だろうと思います。

なぜなら私がそうであったように、裕福層には貧困層の姿がそもそも見えていないから。まずは恵まれた私たちから、手を差し伸べる必要があると思うのです。

まとめ

本書は日本における裕福層と貧困層の分断について述べたものです。階層は子孫に引き継がれ、日本社会に大きな亀裂をもたらしています。

今はまだいいかもしれない。裕福層は、自分の富を追求していられるかもしれない。

でも近いうちに、貧困層は裕福層に何かしらの影響を与えるようになります

なぜなら、社会は繋がっているから貧困層あっての社会だからです。誰が欠けていても成り立たないのが社会です。

だから、私は本書を手に取った全員にこの本を読んでほしい、そして実際に存在する貧困層に手を差し伸べてほしい。そう思います。