「性的マイノリティ」は理解しなくていい【LGBTQ+】
日本でも近年話題の性的マイノリティ。しかし割合的にクラスにひとりはいると言うにしては、なかなか出会うことってないのでは?
それは性的マイノリティの人たちが、自分のSOGI(性的指向と性自認)を隠して生活しているから。
これは大きな問題です。性的マイノリティであってもそうでなくても、本当の自分を出せる社会でなければなりません。
日本社会は性的マイノリティの問題を通じて、変革を求められているのです。
〈目次〉
書籍情報
- 題名:ALLYになりたい――わたしが出会ったLGBTQ+の人たち
- 著者:小島あゆみ
- 出版:かもがわ出版
- 発行:2021年9月24日
内容
著者の小島あゆみさんの高校時代のホームステイ先のホストシスターは、「彼女」と結婚しました。
その後彼女は「妻」との間に一人息子をもうけます。
アメリカでは同性婚が認められていて、子どもを持てること。小島さんは、そのことに衝撃を受けました。
それまで性的マイノリティのことについてあまり知らなかった小島さん。
このことをきっかけに性的マイノリティに興味を持ち、様々な性的マイノリティの人たちと関わっていくようになります。
そうしていくうちに小島さんは次第に「アライ」になりたいと思うようになり、家族と共に「アライ」になったのです。
本書はそんな小島さんが出会った性的マイノリティの人たちの、多種多様な人生についてまとめた本です。
用語解説
本書には性的マイノリティ関連の言葉がいくつか出てきます。
どれも性的マイノリティの人たちを理解するのに欠かせない言葉なので、しっかりとまとめておきます。
ALLY(アライ)
「性的マイノリティの味方、同盟者、支援者」のこと。
カミングアウト
自分が性的マイノリティであることを、他者に伝えること。
クローゼットにいる
カミングアウトをしないでいること。
SOGI(ソジ)
性的指向(好きになる性)と性自認(自分の性別の認識)のこと。
他人が本人の意志を無視して、SOGIを暴露する行為のこと。
にじいろファミリー
性的マイノリティとその家族のこと。
アメリカのにじいろファミリー
アメリカでは長年性的マイノリティの人たちが勇気を出して声を上げ続けてきたことが功を成して、性的マイノリティの人たちが生きやすい環境がどんどん作られていっています。
アメリカでは同性婚が認められているし、同性カップルが子どもを持つことだってできます。
アメリカのにじいろファミリーは、本当に生き生きと暮らしています。
性的マイノリティだとしても、好きな人と結婚して子どもを持つという幸せが保障されているからです。
でもそれって、当たり前の権利ですよね?
日本のにじいろファミリー
日本にだってにじいろファミリーはいるんです。でも日本では同性婚はできないし、法律上子どもを持つこともできない。
だから日本のにじいろファミリーの人たちの多くは、肩身の狭い不便な思いをしながら、にじいろファミリーであることを隠して暮らしているのです。
彼らが胸を張って生きられる環境がないから、私たちマジョリティの多くは日本ににじいろファミリーがいることなど知らないで生活しています。
カミングアウト
性的マイノリティの人たちは、カミングアウトするかしないか、という非常にストレスを伴う選択をしなければなりません。
しかも人が人生を通じて付き合うことになる他人の数は膨大ですから、カミングアウトは一度ではありません。
その人が生きている限り、カミングアウトは一生続くのです。
それでもアメリカでは少なくとも社会的に認められた権利があるから、まだいいでしょう。
でも日本にはそれすらありません。社会的に認められないで、日本の性的マイノリティの人たちはどれだけつらい思いをしていることでしょう。
ただでさえストレスになるカミングアウト。それをもっとしんどくしているのが今の日本社会なのです。
日本政府もアメリカを見習って、性的マイノリティの人たちが生きやすい環境づくりを早急に進めていかなければなりません。
だって当たり前の権利が認められていないなんて、おかしくないですか?
誰にだって家庭を持つという幸せを得る権利があります。
理解できなくてもいい
日本政府は性的マイノリティの権利をいち早く保障しなければなりません。一方で、私たち一般人には何ができるでしょうか。
性的マイノリティの人たちの話をすると、よく彼らを「理解できない」という声が聞こえてきます。
でも、問題はそこじゃないんです。本当に大切なのは理解することではなく、「違いを個性として認める」ということです。
理解なんてできるはずないんですよ。だって性的「マイノリティ」なんですから。私だって同性が好きな人の気持ちなんてわからないし、トランスジェンダーなんてもっとわかりません。
でも私は「アライ」です。
なぜなら「違いを認めて」いるから。大切なのは、「へえ、あなたはそうなんだ」とその人のそのままを認めることなのです。
「アライ」が増えれば日本社会はもっと性的マイノリティに寛容になって、マイノリティの人たちがカミングアウトしやすい環境が生まれます。
性的マイノリティの人たちが感じる精神的負担を少しでも軽減することができるのです。
まとめ
のびのびと自分らしく生きて幸せを掴んでいるアメリカの性的マイノリティの人たちに対して、日本の性的マイノリティの人たちは肩身の狭い思いをして生活しています。
日本の性的マイノリティを苦しめているのは、同性婚が認められず、法律上子どもを持つことができないという社会制度の不備です。
日本政府は一刻も早くこの現状を改善しなければなりません。
一方で私たち性的マジョリティが何をできるかというと、性的マイノリティの人たちの違いを認めて受け入れる「アライ」になることです。
「アライ」が増えれば、日本の性的マイノリティの人たちはもっと生きやすくなるでしょう。