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ASD女子大生の読書記録

医者という職業は超ブラック!|『泣くな研修医』中山祐次郎【あらすじ・感想】

実は私、ワケあって4月から入院生活を送っています。

そんな中で出会った作品がこちら↓

 

『泣くな研修医』

その名の通り、研修医の先生が奮闘するお話です。

すごく面白かったので、今日はこの本を紹介します!

〈目次〉

あらすじ

まずは、簡単なあらすじから。

主人公の雨野隆治は、大学を卒業したばかりの新人医師。医師とはいえ研修医なので、まだまだできないことも多く多忙で大変な毎日を送っています。

この物語は、そんな隆治が一人前の医師になるべく奮闘する様を描いています。

がむしゃらに働く隆治以外にも、先輩医師の佐藤先生岩井先生、隆治を合コンに誘う同期の川村など個性的なキャラクターがたくさん登場します。

どのキャラクターも「医師」という仕事に一所懸命で、カッコいいんですよねぇ・・・。

患者ファースト

私は入院生活で、ふたりの研修医の先生と出会いました。

1人目の研修医の先生は、私の言ったことを事細かくメモする、とても熱心な先生でした。すごく安心感があったのをよく覚えています。

2人目の先生は、寄り添ってくれる先生です。落ち込んでいるとか寂しいとかいうことまで、とにかくよく話を聞いてくれました。

本書の主人公の隆治は2人目の先生に近いです。患者に寄り添う、患者ファーストな先生です。

隆治は患者の容態の悪化があってはならぬと、わざわざ医局に寝泊まりして過ごしています。そして1日に何度も何度も、担当の患者の容態を確認しにいくのです。

隆治みたいな先生についてもらったら、患者はさぞ心強いでしょう。

命の選別

本書で印象に残るのが「命の選別」のシーンです。

例えば、隆治が関わった患者の中に、隆治と同い年で、もうがんの末期で死を待つだけの患者が登場します。

隆治はそんな彼に延命治療を施そうとするのですが、先輩医師は延命は行わず、緩和ケアのみを行いました。

隆治はこれに憤慨します。しかし同期の川村に言わせれば、「もう末期の患者だから延命をするのは意味がない」のです。

これ以外にも94歳という超高齢のがん患者も登場します。

94歳という高齢でもう十分生きたのだし、手術もリスクがあるだけだから行わないというのです。隆治はこのことにもショックを受けました。

患者にとって、何が幸せなのか。その患者にとって、適切な医療とは何か。

患者に決める力があればいいのですが、病状によってはそれを決めるのは医師になります。医師というのは、患者の命のあり方まで左右する責任感重大な職なのですね。

とっても考えさせられるシーンでした。

医師は超ブラック

本書を読んでいてもうひとつ感じたのが、「医者って超ブラックなんだなー」ということです。

新人研修医の隆治は医局に寝泊まりしてほとんど家に帰っていませんし、隆治ほど熱心じゃなくても突然の呼び出しとかが普通にある世界です。しかも、その呼び出しは人の命に関わります。

寝不足でも患者の容態が悪ければ対応しなければいけないし、飲み会の後で酔っ払っていても医療行為を行わなければいけない。

医師は、単にブラックであるだけでなく、精神的にも強くないとやっていられない職業だと思います。

私は改めて入院生活でお世話になっている先生方に、「先生、いつもお世話になってます」と言いたくなりました。

リアルな病院の姿

本書は私のように入院している人もしていない人も楽しめます。

というのも、生きている上で医療と関係のない人などいないからです。皆、一度や二度は風邪をひいて病院に行ったことがあるでしょう。

そんな中で、この作品は病院の実際の姿を等身大にリアルに描いており、すごく興味深いです。本書の作者は実際のお医者さんだから、それも納得ですね。

とにかく、病院の裏側が知れて面白いです。

読んだことがない人は、ぜひぱらぱらっとでも本書を手に取ってみてください!

本書は続編もあるので、私はそれを読むこととします・・・!

書籍情報

  • 題名:泣くな研修医
  • 筆者:中山祐次郎
  • 発行:幻冬舎
  • 出版:令和2年4月1日

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